AirPlay2について、ものすごく細かくまとめてみる

AirMac Expressを購入する理由にもなったAirPlay2。無線で音楽を再生する手段としてはかなり便利だけど、まだまだ知名度は低いし仕様もごちゃごちゃしている印象。

公式で把握できない・しづらい部分について検証できた範囲でまとめてみる感じの記事。仕様書のような仕上がりになっているので読みづらいかも。

基本的な仕様

原則Wi-Fi・LAN内で伝送する。ロスレス(44.1kHz/16bit)で伝送可能、ハイレゾやサラウンドには非対応。音声だけでなく、アルバムアートワークやアーティスト名・曲名の情報も伝送される。再生キューも伝送されるが、歌詞は伝送されないことに留意する必要がある。
再生元1台に対し再生先のデバイスは同一ネットワーク内なら複数選択が可能で、音声は完全に同期され遅延も感じない。部屋を分ければ複数の部屋・同一の部屋に置けばスピーカーの数を増やせるということになる。

各スピーカーには名前を付けることができ、Siriで名前を呼ぶことで任意のスピーカーで再生できる。名前や部屋の割り振りは全てホームApp(HomeKit)で行う。

再生元(音源)はiPhone/iPad/Mac/HomePod/AppleTV等。再生先(スピーカー)はMac/HomePod/AppleTV/対応スピーカー/各種レシーバー等。この辺りについては後述。

Siriでの再生について

ホームAppにアクセサリとして追加可能で、追加することでスピーカーの名前や部屋の設定が可能。適切な設定を行うことで、Siri経由で任意のスピーカーで再生が可能になる(→AirMacExpressの記事を参照)。曲/アルバム/アーティスト/プレイリスト等の情報・シャッフル/リピート等の指定と絡めることが可能。
この場合、Siriが反応したデバイスが再生元(音源)となる。例えば「HomePodとAppleTVで再生して」という指示をHomePodが聞き取った場合はHomePodを再生元としてAppleTVへと同時出力するが、iPhoneが聞き取った場合はiPhoneからHomePodとAppleTVへと同時出力される形になる。
再生元となったデバイスで再生を開始した後に接続処理を開始するため、Siriが指示を聞き取って数秒の間は全てのスピーカーから再生されないかもしれない(再生元がスピーカーを兼ねる場合、そちらでは再生されている)。

部屋名で指定した場合は同一の部屋の中から1つのスピーカーが選ばれ、複数の部屋を指定した場合は、それぞれに属するスピーカーから選ばれる。同じ部屋に複数のスピーカーを設定している場合、音声コマンドが多少複雑になってしまう(「部屋の”全ての”スピーカー」と呼称する必要がある)。
ステレオペア設定したHomePodは2台セットで1つのスピーカーとして扱われる。

任意の複数のスピーカーで同時に再生するには、

全てのスピーカーの名前をSiriに伝える:「AppleTVとHomePodで流して」
部屋の名前に補足してSiriに伝える:「リビングの全てのスピーカーで流して」
スピーカーが属している部屋全てをSiriに伝える:AppleTVをリビング・HomePodを寝室に設定し「リビングと寝室で流して」
部屋を繋げたゾーンの名前をSiriに伝える:リビングと寝室をゾーン名1階に設定し「1階で流して」

等の方法がある。名称は任意のため、ホームAppでの表示を気にしないなら部屋の名前を「HomePod」「AppleTV」等分かりやすいデバイス名にしておき、ゾーンを「部屋」にすることで「部屋で流して」とシンプルにまとめられる。

部屋「AirMac Express」にゾーン「部屋」と設定。
AirMacExpressをこの部屋の唯一のスピーカーにしておけば、問題なく同時再生が可能になる

ゾーン「部屋」で部屋「HomePod」と「AppleTV」をまとめた場合のコマンドの例としては、

「全曲を部屋でシャッフル再生して」:聞き取ったデバイスでライブラリ全体をシャッフル再生し、HomePodとAppleTVに同時出力
「ラブライブを部屋で再生して」:聞き取ったデバイスでラブライブという名前のプレイリストやアーティスト・アルバムアーティスト(=なんらかのリスト)を探して再生し、HomePodとAppleTVに同時出力
「桜内梨子の曲をAppleTVでリピート再生して」:聞き取ったデバイスで桜内梨子という名前のリストを探してリピート再生し、AppleTVに出力

等が考えられる。Siriに対して使う再生コマンドのほぼ全てが同じように使えるため、一切の手間なくスピーカーへの出力が可能。

固有名詞・人名等は連絡先に名称と振り仮名を設定しておくとスムーズ。設定しない場合、言語環境と異なる言語(日本語環境における英語)や変換候補の優先順位が低い漢字等は聞き取ってくれないことがあるので注意。
AppleTV上のSiriは連絡先を参照できない。またHomePodはパーソナルリクエストを設定している場合に限り連絡先の情報を参照することが出来る。AppleTVを再生元とする場合、Siri(音声入力)ではなくSiri RemoteやiPhone・iPadで操作するのが無難だろう。

レシーバーを用いれば任意の有線スピーカーでこれが行えるため、「音声アシスタントで手持ちのスピーカーへ再生指示ができる」数少ない方法でもある。

マルチデバイスでの見え方

AirPlay2スピーカーの場合、音源・再生先スピーカー以外でも再生中の曲の操作が可能(Macへ出力している場合は例外)。操作対象はコントロールセンターやミュージックAppで簡単に切り替えられる。ほとんどのAirPlay2スピーカーは再生中の場合のみ切り替えが可能だが、AppleTVやHomePodは例外的に常に切り替えが可能(後述)。

音源でないデバイスからは、AirPlay2で伝送されている情報のみが見える。例えば任意のデバイスからAppleTVに出力している時も、出力されているAppleTVではAirPlay2で伝送されている情報しか見えない。

iPadからHomePodにミュージックを伝送し、それをiPhoneから操作すると仮定した場合、ミュージックAppやコントロールセンターで(まるでiPhoneで流しているミュージックを操作するかのように)以下のような操作が可能。

・音量/次の曲/前の曲/再生位置の調整
・一時停止/再開/シャッフル/リピートの設定
・次に再生(キュー)の確認、キューからの選曲

無関係のデバイスからは、ライブラリから再生キューへの曲追加や歌詞の確認ができないことには注意。
(AppleMusic契約中なら、HomePodやAppleTVが再生元の時に限り好きなデバイスでライブラリからキューへの曲追加が出来るらしい。が、契約していないので未検証)

コントロールセンターでアートワークをタップするとミュージックAppが開くが、これは再生しているAppの情報も伝送されていることを意味する。例えばiPhoneからYoutubeの音声を出力していた場合、iPadのコントロールセンターでアートワークにあたる部分をタップすると(iPadの)Youtubeが起動する。

AppleWatchはAirPlay2の再生元にも再生先にもならないが、AirPlay2スピーカーのコントロールは「再生中」Appより行える。文字盤のコンプリケーションにも反映され、ペアリングされたiPhoneとAppleWatchでミュージックが再生されていないときにはAirPlay2スピーカーで再生中の曲名とアーティスト名が表示される。

BluetoothのようにAppleWatchを再生元とすることができない都合上、AppleWatchからAirPlay2スピーカーで再生を開始したいなら(AppleWatchのAppを使って)iPhoneを操作する形になる。

AppleTV・HomePodについて

AppleTV・HomePodはAirPlay2の再生元・再生先どちらにもなりうるデバイスであるため、特殊な仕様がいくつかある。
まず上述の通り、コントロールセンターやミュージックAppで常時キューや再生状況の確認が可能。これは他のAirPlay2スピーカーと違って「自力で再生の開始が可能なデバイス」であるためだと考えられる。

またAppleTV・HomePod自身が音源となっている時は、どこへ出力するかも操作が可能。自身の他にAirPlayスピーカーが指定でき、その場合はiPhoneやiPad等が一切介在することなく完全に自立した再生環境となる。

HomePodを軸に再生しつつ、他のスピーカーへも出力可能。
他のスピーカーにのみ出力しHomePodをiPod的に扱うことも出来るが、
HomePodの音質が非常に高いため同時再生しない理由はない

AppleTVのAirPlay2の仕様

AppleTV(HD/第4世代以降)はHDMI・Bluetooth・AirPlay(1)・AirPlay2での音声出力が可能であり、また自身もAirPlay2で音声を受け取ることが出来るレシーバーのような面を持つ。
当然AppleTVそのものは出力装置を持たず、AppleTVがAirPlay2で音声を受け取った時にその音声を再生する場所はHDMI・Bluetooth・AirPlay(1)の3択となる。つまりAirPlay2→AppleTV→Bluetoothのような経路が実現可能で、任意のAirPlay(1)/Bluetooth/HDMI入力のスピーカーをAirPlay2化出来る。

またAppleTVはAirPlay2の出力先でありながら独自のUIを持ち、視覚的に操ることの出来る唯一の存在でもある。iPhone・iPad・Macに頼らず完全独立した再生環境を作りつつ(またそれらのデバイスから遠隔操作しつつ)、単体でもSiriに頼らずに正確にコントロール出来る存在はAppleTVのみ。独立環境・不安定なSiriに頼らずAirPlay2の遠隔操作で対応できないキューへの曲追加等を行う場合に非常に役立つ。AppleTVで再生しているなら、テレビの大画面で歌詞も表示出来る。

AirPlay2→AppleTV→AirPlay2の経路は「ほぼ」存在しない。これはAppleTVと別のAirPlay2スピーカーに同時出力が可能なため、AppleTVを「挟む」必要がないため。
「ほぼ」というように例外はあり、大体は映像が絡む場合。1台の再生元デバイスから別のAirPlayスピーカーとAppleTVに映像の同時出力を行うと、AppleTVも音声のみになり意味がない。
これを回避するには、事前にAppleTVを再生元・任意のAirPlay2スピーカーを再生先に設定した上で再生元デバイスから出力を行う。画面ミラーリング等では機能するが、音声の遅延がひどく使い物にならない。遅延なく任意のスピーカーで画面ミラーリングを楽しむには、AppleTVとスピーカー間でHDMIを通した音声出力が必須。ただしこれにもまた音量コントロールに問題がある。

最も多い使い道であろうYoutubeの場合、AppleTVでYoutubeAppを起動している間はAirPlay2レシーバーではなくキャストという形で遠隔操作が可能なためこの問題は起きづらい(キャストは伝送ではなく再生指示であり、AppleTVが自立して再生するため)。
事前にAirPlayの出力経路を作成しておきiOSのYoutubeApp等で「キャスト」することで、AppleTV→AirPlayスピーカーの経路を維持したまま映像再生が可能になる。

AppleTV上でYoutubeAppを事前に起動することで、
AirPlay出力ではなくキャストが可能になる

音量コントロールはAppleTVで直接再生する場合と同様。HDMIの場合は出力先のテレビやレシーバーに依存するため音量コントロールが存在しないが、AirPlay2の複数出力先にした時のみバランス調整のためか音量コントロールが現れる。BluetoothやAirPlay(1)の場合は、AppleTV単体に出力した時も音量コントロールが現れる。遅延は全て調整されるため特に感じられない。

仕様上AppleTVのHDMIから音声分離器を通してスピーカーに出力する配線の場合、スピーカー本体を直接操作しないと音量調整が出来ない事態に陥るので注意(この辺りの話も前の記事に少しある)。
面倒ならAirPlay(1)レシーバーかBluetoothレシーバーを挟むという手があるが、どちらも放置すると自動切断されることがあるので再接続する必要性が出てくる。そのためAppleTVは音声出力先として考えず、別途スピーカーを接続したAirPlay2レシーバーを用意してしまうのが無難(この役割においてAirMac Expressは最適)。
なおAppleTVでHDMI経由のサラウンド環境を組んでいる場合、この問題はほぼ解決する。

HomePodについて

HomePodはAppleTVと同じく再生元・再生先どちらにもなりうるが、HomePodからの出力においてはAirPlay2以外の伝送方法を一切持たずレシーバーとしての役目は期待できない。
これにはAirPlay(1)も含まれ、例えばHomePodで再生中のミュージックをAirPlay(1)にしか対応しないスピーカーへと伝送することは出来ない。

対して、HomePodが単体で再生中のミュージックをAirPlay2スピーカーへと伝送することは可能である。これはHomePodのSiriに頼むことで、HomePodを再生元とした複数スピーカー(AirPlay2に対応するAirMacExpressを含む)での同時再生が可能であることを意味する。iPhoneのSiriと同じように、HomePodのSiriに向かって「AirMacExpressで全曲をシャッフル再生」「この曲をAppleTVでも再生」のように指示すれば良い。
HomePodを再生元とした際の出力先は、HomePodのSiriまたは任意のiOSデバイス等のコントロールセンターやミュージックAppで設定・変更が可能(詳細はこの記事にもある)。

AirMac ExpressへのAirPlay

AirMac Expressは全モデルでAirPlay(1)に対応する。AirMac Express 802.11n (第2世代)のみファームウェアアップデートでAirPlay2にも対応し、AirPlay2レシーバーとしての役割が期待できる。
出力端子は丸型光デジタルを兼ねた3.5mm端子であり、適切なケーブルを用いることで光デジタル出力とアナログの3.5mm出力を選べる。高性能なDACやアンプを経由出来るなら光デジタルで接続することでより高い音質を目指せるが、並のDACではアナログ接続との差を感じることは難しい。
AppleTVはAirPlay2と引き換えに光デジタル端子を失っているため、AirPlay(1)にのみ対応したAirMacExpressを補助として使うことは考えられる(ただし、AirPlay2対応のAirMacExpressを敢えて使わない理由はコスト以外にない)。

Belkinの「SOUNDFORM CONNECT AirPlay 2対応オーディオアダプター」もAirPlay2のレシーバーとしての役割が期待出来るが、中古で2000~3000円前後から入手可能なAirMacExpressと比べ非常にコストがかかる(新品で10000円を超え、発売から間もないため中古の値下がりもそれほど期待できない)。本体が小さく省スペースであることと最新故に接続までが高速であることがメリットだが、いずれも再生中に大して気になるものではない。

AirPlayの仕様上サラウンドには非対応。サラウンド感を味わいたいなら、(真のサラウンドではないが)Dolby Surround等の擬似サラウンド機能を扱えるサラウンドアンプを通すと良い。AppleTVで既に環境を組んであるなら、そちらのサラウンド環境を使い回すことも検討。多くのサラウンドアンプには、組み上げた環境でステレオ音声を聴けるようにDolby Surround機能が備わっている。
世代を気にしなければ、中古のAV機器を扱っている店舗で1000円を切る価格で5.1chの擬似サラウンドアンプが売られていることもある。安価に済ませるならば、これらのPREOUT端子にモノラルピン-ステレオミニ変換を挟んだ上で任意の(ステレオミニ端子を備えた、ごく一般的な)アクティブスピーカーを接続すると良い。
ステレオスピーカー3セットで済ませるなら、運が良ければ(AirMac Expressを含めて)10000円前後で揃うこともある。HomePodほどの高音質は出せないかもしれないが、音の広がりを体感するための条件は充分に満たせる。

MacへのAirPlay

Macは元々AirPlay2の「再生元」だったが、macOS 12 Montereyより「再生先」としてMacを用いることが可能になった。
公式のMontereyプレビューのページではおおよそ2018年以降の機種しか対応していないと書いているが、この対応機種リストには何故かiPadとiPhoneが含まれており結局のところリストが何を意味しているのかは不明である。しかもリストに記載されていない(非対応とされているはずの)Macを再生元・再生先として扱うことも可能であり、リストは実質的に意味を成していない。

更には21.5インチiMac(Late2013)(MontereyどころかBigSurすらも導入できない)を再生元・12インチMacBook(Early2016)(「MacへのAirPlay」に非対応とされている機種)を再生先として出力を試したところあっさりと出来てしまったため、実質的にMontereyに対応したMacならば出力先になれると解釈が可能である。ただし、動作確認を取ったのは12インチMacBook(Early2016)ただ1台であることに注意。

こちらも内蔵スピーカーだけでなくBluetoothや有線へと出力可能なため、レシーバーとしての使い道が期待出来る。
ただテストではホームAppに登録できず(見つかるが、エラーが表示される)Siriでの利用に不便が生じている他、再生元・再生先以外のデバイスからコントロールセンターやミュージックAppを通しての操作が不可能であった。全体的に、AirPlay(1)を同時出力に対応させただけのような仕様となっている。

また再生先となるMacのミュージックAppとは繋がっていないのか、MacのミュージックAppを開いていてもAirPlay2の再生状況に変化はない。当然再生に関与していないデバイスのコントロールセンターからの再生中の曲の操作も不可能(Remote Appを使えばMacのミュージックAppの遠隔操作が可能であるが、AirPlay2と無関係なため除外)。
このためAirPlay2の再生元と再生先の「両方になりうる」という表現をするには至らなかった(どちらにもなりうるが、AppleTVやHomePodのような動作は期待できない)。

レシーバーとしてのみ運用することを想定した場合、AirMacExpressと比べた利点が感じづらい。映像を考慮してもAppleTVと比べた利点は見当たらない。
そのためMacmini等で省スペースなサーバーを構築している場合に(おまけとして)AirPlay2にも対応できる、と解釈するのが自然だろう。MacminiはLate 2014以降であればこの役目が期待出来るため、コストもあまりかからない。また、HomePodのサウンドを拡張する用途としては十分である。

この機能専用のスピーカー設定を構築することも出来ないため、普段(作業やブラウジング等に)使っているMacをAirPlay2レシーバーとして運用することは推奨できない。もしもそうしたのなら、普段使うときにも(AirPlay2として組んだ)スピーカーから常に出力されてしまう事になる。やはりサーバー機以外での活用は難しそうである。

AirPlay2に「重ねて」再生する

AirPlay2の機能として、iPhoneやiPadから出力中の音に様々なものを「重ねる」ことが出来るというものがある。

例えばiPhoneからHomePodへ音楽を再生中に電話がかかってきた場合、「HomePodを子機として用いる」だけでなく「HomePodでは音楽を再生し、iPhoneだけで通話を行う」という選択肢が存在する。念のために補足するが、これはHomePod単体で再生している時ではなくiPhoneを再生元としている場合の話である。これらはあらゆるAirPlay2スピーカーで起こることである。

またiPhoneのミュージックApp等で何かの音楽をAirPlay2で再生しているときには、追加でiPhoneで音が鳴る動作(クリック音等)を行なってもAirPlay2スピーカーからは鳴らずiPhoneの内蔵スピーカーから鳴る。例えば音楽を聴いている途中にゲームを起動しても、音楽はAirPlay2スピーカーから流れたままゲームの音は内蔵スピーカーから再生されるということ。

動画等にもこれは影響し、AirPlay2で音楽を流している最中に(Youtubeのような)動画を再生してもiPhoneのスピーカーから流れ出す。AirPlay2スピーカーに動画の音声を流したい場合、切り替え操作を手動で行う必要がある。

また「重ねた」音声の再生先は内蔵スピーカーである必要はない。例えばAirPlay2で音楽再生中にかかってきた電話に、Bluetoothイヤホン(AirPodsのような)で応答することも可能である。これはサードパーティのアプリの組み合わせでも発生する(SkypeとYoutube等)。
ただしこれには「AirPlay2再生中に電話に応答し、Bluetoothイヤホンを接続する」という適切な順序があり、意識していなければHomePodで応答してしまったり音楽再生を停止させてBluetoothイヤホンで応答してしまうことになるだろう。運良く(あるいは運悪く)遭遇できる場面はほとんどない。

この仕様により、多くの(動画や音楽を再生する目的でない)アプリの音声はAirPlay2では再生できない。ただAirPlay2の目的にゲームは含まれておらず、気になる場面はほとんどないだろう。同じスピーカーでゲームの音も出力したいなら、AirPlay2レシーバーとは別の線をミックスしてスピーカーへと出力するという手もある(→詳細)。ただし、この方法はHomePodやAppleTVには適用されない。

AirPlay2は「究極」になり得るか

マルチルーム再生・ロスレス伝送・ほぼ完全な音声アシスタント対応が揃っており、無線の音楽再生環境としては最高クラスなのは間違いない。
再生元がAppleデバイスに限られるとはいえ一体感という観点で既存のものを圧倒しており、手軽さ・品質ともに妥協のない環境を作り上げる上で無視できない存在である。

しかし仕様を理解しないと混乱させられることが多くあり、また構築のハードルも決して低くはない。特徴である音声アシスタントを導入するのには、最低でも10800円+税(HomePodmini)がかかってしまう。

理解した上で環境を整えることが出来れば「究極」になりうる存在である、と感じた。少なくともわたしは構築して以降、部屋でAirPlay2以外の再生環境を導入しようとは思えなくなった。

カテゴリー: Apple, AppleTV, Homekit/Homebridge, HomePod, ガジェット, デスクトップ周辺機器, 周辺機器 タグ: パーマリンク

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