3万円から始める格安DolbyAtmos環境/最新規格は必要なのか

ついにDolbyAtmosのアンプを購入。機種はONKYOのTX-NR656、メルカリでお値段3万円弱(28,888円)。

元々は先代のTX-NR646を検討していたんだけど(Amazon中古で同価格)、細かい機能差で656をチョイス。
DolbyAtmos対応アンプの中では安い部類なものの、規格自体が優秀である故に充分な性能を備えている。

オーディオアンプは大体光デジタル(Dolby5.1ch)→HDMI(LPCM7.1chまで)→HDMI(Atmos対応)といった感じで進化しており、Atmosに頼らなければ世代間でも大きく変わらない。
Switch/WiiU等のサラウンドはLPCMなのでHDMIだけでも恩恵があるが、アニメ映画の5.1chサラウンド音声を通常通り聴くなら10年前のアンプとの差は感じられない。

しかしDolbyAtmosにはAtmos以外からのアプコン機能が含まれており、Atmos対応アンプであればどのような音声を再生してもアップコンバートの恩恵がある。
これはAirPodsシリーズのステレオを空間化に近く(あちらは仮想的に5.1chを再現する)、AirPodsMaxの空間化の感覚が好みなら大きな価値を感じられるだろう。

基本機能・追加機能

以前使っていたAVC-3890から12年経過しているだけあって、最新規格の対応機種らしい様々な機能が強化されている。
特にHDMI端子の追加が大きく、これによりCEC・PCMサラウンド・オブジェクトオーディオに一気に対応している。

あと実は奥行きが10cm狭くなり、重量は7kg減の大幅ダイエットに成功している。10年ってすごい。

オブジェクトオーディオ対応

オブジェクトオーディオであるDolby AtmosとDTS:Xに対応。
Dolby Digitalのようなチャンネルベース(スピーカーを指定して音を配置する)と異なり、スピーカーとアンプで空間を定義し、同じく作成環境で定義した空間に音を配置する仕組み。スピーカーの数と配置に応じてアンプが空間を定義するため、チャンネルベースと異なりスピーカーの数で音の再生可否が分かれない。
一度環境を整えてしまえば、チャンネル数に合わせてスピーカーを増やす必要がなくなるのもポイント。

というと面倒臭いけど、最大の利点として高さの表現が可能になったことが挙げられる。
Dolby Digitalを始めとした既存規格では前方・後方の定義しかなかったが、ハイトスピーカーの概念が加わったことにより上下方向の定義が可能になった。
更にDolby Atmosにおいては後述するアップコンバート機能も標準で付帯するため、Dolby Atmos対応そのものがアンプの体感音質向上と結びつく。

DolbyAtmos規格で作成された作品はそこそこ出回っているものの、アニメ映画とかだと非常に少ない。ワンピースのFILM REDとかリマスター版のSAOOSとか、かなり限定的。
よって基本はアップコンバートを介した既存のコンテンツの視聴となる。

対応サラウンド規格の拡充

オブジェクトオーディオ2種以外にも、LPCM(非圧縮)サラウンドやDTS-HD Masterに対応。
LPCMサラウンドはWiiUやSwitchなど任天堂製ゲーム機で用いられており、これらに対応する多くのゲームでサラウンドが楽しめるのはメリット。

DTS-HD Masterの作品は少ないが、艦これ劇場版のBDなど一部作品が採用している。
艦これ劇場版はアマプラでもサラウンド配信がなかったため、サラウンドで再生できる環境は地味に貴重。
共に光デジタルでは再生不可能だったため、HDMI端子を得たアンプならば軒並み対応している。

引き続き、5.1chまでのサラウンド再生も対応。
光デジタル/アナログだけでなくHDMIから入力可能なことで、現状存在するサラウンド規格はほとんどカバー出来ている。

音声のアップコンバート

Dolby Surroundと呼ばれる機能。以前にも同名称の規格が存在したが、Dolby Atmosに付帯するそれは完全に異なる規格。
Dolby Atmos用の設定で定義された空間に合うように、既存のステレオ/サラウンド音声をアップコンバートさせる。

AirPodsシリーズの「ステレオを空間化」のスピーカー版、と捉えると理解しやすく有用性が分かるだろう。
あちらは仮想的に5.1chを再現しているのに対しこちらは最低でも5.1.2chのリアルサラウンドなため、定位感では大幅に優れる。

いつも聞いている(空間オーディオでない)音楽や、テレビ番組・アニメ等なんでも定位感を強めてくれる最強機能。人の声はセンターに振り分けられ、効果音はハイト/サラウンド/フロントに適切に散らばり、BGMは広く薄く鳴り響く。

特にDolby Digital5.1ch等のサラウンド映画をアップコンバートした時の効果は素晴らしく、ほぼ全ての映像・音声作品をより一層楽しめるようになる。

会社が異なるDTSからのアップコンバートも可能。DTS-HD Masterの艦これ劇場版を、5.1chの定位感そのままDolbyAtmos相当にアップコンバートして楽しむことも出来る。
総じてDolby Atmos規格の目玉とも言える機能。DTSにも同様に対応しているアップコンバート機能があるが(DTS Neural:X)、オプションも限られるため基本的にはDolby Surroundで問題ない。

HDMI入力/パススルー対応

HDMI端子を搭載したことによりサラウンド規格が拡充された他、映像に関する多くの機能が実装されている。

HDMIセレクター機能

アンプには複数のHDMI入力端子が存在し(NR656はなんと背面7個+前面1個)、それらをアンプのリモコンで自由に切り替えることが可能。
テレビ側はただアンプから入力するだけでよく、テレビの入力切り替えの頻度が減る。

テレビの入力切り替えは同一のボタンを複数回押すのに対し、アンプの入力切り替えは切り替え先に応じたボタンを1回押すだけで完結する。
このことからテレビよりも簡単にスマートリモコンに実装しやすく、Homekitやスマートスピーカーから入力切り替えすることも容易。

4K/DolbyVisionパススルー

今回狙っていたNR646ではなく、NR656を選んだ理由がこれ。アンプを介しても高品質な映像を保ったままテレビに映し出せる。
NR646でも4K/60fpsには対応しているが、NR656では新たにHDR/Dolby Visionに対応した。これによりDolby Vision+Dolby Atmosのような高品質な映像を高輝度テレビとアンプで再生することが可能になる。
非対応の場合はアンプを介すとSDRになり、ARCで音声を出力するとDolbyAtmosに非対応となる。eARC非搭載のテレビにおいて、DolbyVision+DolbyAtmos実現には必須の機能。

Dolby Vision非対応の映像を視聴する分には特に影響がないが、YouTubeにすらHDR映像が転がっている現代では対応可否は非常に重要。
映像作品もリマスターに合わせてHDR対応していることが多く、すぐに要求されなくとも今後より重要性を増してくる可能性が高い。

スタンバイスルー

地味に活躍する機能。アンプがスタンバイ状態の時でも、映像だけはテレビにきちんと出力する。

アンプを導入するとテレビ視聴の全てをアンプに委ねがちだが、AppleTVの場合HomePodやAirPodsを出力先にしたりとアンプに頼らない場面も多い。
こういった「映像はテレビで見るが音声は別の方法で聞く」場合、セレクターの機能を兼ねているアンプの電源をつける必要があると非常に面倒。

AppleTV以外でアンプを使わずに済む場面はそう多くなく、限られた需要であることは確か。
というかAppleTVがDolbyVision/DolbyAtmos対応の高性能ストリーミング機なので、AppleTVに合わせて機能を確保した形。

HDMI CEC機能

連動機能の一種。電源オン/電源オフの連動・入力切り替えの連動・音量操作の連動などがある。
アンプをつければテレビもつき、テレビを消せばアンプも消える。繋いだAppleTVを操作すればアンプの入力はAppleTVに切り替わり、AppleTVをスリープすればテレビとアンプがまとめて消える。

非常に便利な機能だが、罠も存在する。音声だけ再生したい場面で確実に邪魔になること。
AirPlayを始めとした音声再生をする場合、テレビはつけないままに音楽だけ聞きたい場面も多い。しかし音を聞こうとアンプをつければテレビが勝手についてしまうので邪魔になり、ハイエンドなテレビは高輝度故に電気代も無駄にかかってしまう。大型だと300Wとか持っていかれるから地味にキツい

基本的にはテレビとアンプ間の問題なので、テレビ側で設定を変更すると解決する。
どこまで設定できるかは機種によるが、わたしの65X10は電源オン・オフ・切り替え連動それぞれ有効/無効の設定が可能だった。電源関係だけ無効にすることで無意味な電源オンを避け、切り替え連動は残すことでアンプの自動入力切り替えは保ったままの使用が可能。
この場合、連動しなくなったアンプの電源操作はスマートリモコンに任せると楽。わたしはMacminiのHomebridgeを介してIRKitで操作することにしている。

1080p→4Kアップコンバート

これもNR656から。1080pの映像限定で、4Kにアップコンバートしながら出力する。
フルHDまでのポータブルBDプレイヤーを用いているので、アップコンバートして出力されている。

しかしAppleTVは初期設定だと4K固定になるため、1080pの映像を再生しても4Kで入力されてしまい発動しない。
総じてイマイチ使い所は分からないが、刺さると面白い機能の一つ。

その他機能拡充

AirPlay(初代)への対応

結構助かる。AirPlay2ではないのでHomePodからの出力や複数同時出力の対象には選べないが、AirMac Expressより遥かに高速に接続され機能する。
どうやら音声のみの対応のようで、YouTubeなどの音声だけを出力できるのは地味に便利。MacminiのAirPlayレシーバーだと映像ごと出力してしまい出力元の映像が表示されなくなってしまうので、使い分けが大事。

AppleTVからAirPlayで出力し、AppleTVをAirPlay2レシーバー代わりに使うことも可能。
AppleTVをスリープにしなければ問題なく機能する上に遅延も解消され、HomePodから出力することも可能になる。ただし定期的に接続解除されてしまうため、Siriでの音声操作には不向き。

実際の運用

わたしはほぼAtmos対応コンテンツを視聴しないため、アップコンバートによる恩恵がほとんど。

ハイトスピーカーの配置について

ハイトスピーカーの設置は6パターン。高所設置が不可能な場合の救済策として、フロントスピーカー上から天井に当てて反射させる専用規格もある。
残り5つは天井に埋め込むものと、高所の壁付近に設置するものに分かれる。

ハイトスピーカーは設定した場所の左右に1台ずつ設置するのが基本。よって5.1.2chの配置となる(8chアンプ)。

専用規格は「Dolby Atmos-Enabled Speaker」といい、対応スピーカーをフロントスピーカーの上に設置。反射して天井から降ってくるよう設計されているが、実際に高所に設置する場合と比べると定位感で劣る。

天井埋め込みは前方・中央・後方の3パターン。それぞれトップフロント・トップミドル・トップリアと呼ぶ。
音を天井から真下へ流すことになるため、工事なしの突っ張り棒でも不可能ではないがちょっとめんどくさい。

よってわたしが取ったのは、高所の壁付近に設置する方法。フロントハイ(前方)/リアハイ(後方)の2択だけど、今回はリアハイを選択した。
リアなのは既にテレビ上という前方高所にセンタースピーカーを設置しており、高所での前方/後方の音量バランスを取ろうとした結果。本来はセンターはフロントスピーカーと同じ高さに置くのが正解。

壁設置用のラックはちょくちょく紹介してる、押しピンで設置でき2kg超えのスピーカーにも耐えられるものを採用している(→Amazonリンク)。

配置を終えたら、アンプの設定画面から設置位置を指定しておく。

配線と音質

今回はフロントLRにDS-103Xと、それ以外のセンター/サラウンドLR/ハイトLRにDS-103Vを選択。
BOOKOFFに2台で1480円で売っていたところ運命的な出会いをしたのがきっかけで、結局メルカリとヤフオフで7台揃えた。フルレンジ+パッシブラジエーターという珍しい(らしい)構成だが、音の体感解像度は余裕でHomePod超え。

サブウーファーは適当な2.1chスピーカーのウーファー部分を流用。ウーファーの入力がRCA2ch・アンプの出力がRCA1chのため、ダイソーの3.5mmステレオ-RCA2chケーブルと3.5mmステレオ-RCA1ch変換アダプタ(→Amazonリンク)を併用して接続。

余り物を流用した結果なので、本来はRCAステレオ→モノラルの変換アダプタを使うのが正しい。

こういうやつとか。オス-オスだと尚良し。
上のアダプタと同じく、いつも使ってるブランドの製品。Amazonリンク

唯一の問題点として、AVC-3890にはあったウーファー用コンセントが搭載されていない。
そのためウーファーは別途電源を確保する必要がある上に、電源付けっぱなし時特有のノイズを対策しなければならないのは難点。スマートコンセントを使って電源制御させれば簡単に解決。

スピーカーケーブルは以前からちょくちょく言及していたAmazonベーシックのもの。ハイトスピーカーとサラウンドスピーカーがアンプの設置位置とほぼ反対のため、7台全て配線するには2セット必要だった。

Amazonリンク

アンプの映像入力にはAppleTV4KWiiUポータブルBDプレイヤーを接続。アンプの上に全部積んでいるので、接続にはショートケーブルを利用した。

電源も付属のケーブルではなくショートケーブルを用いている。

細身の電源ケーブル。3ピン特有の極太ケーブルから解放される。
Amazonリンク

音声入力としてテレビとMacminiから光デジタルで接続しているが、恐らくこれらは不要。
MacminiのAirPlay2レシーバーに頼らずともAirPlayでの接続が可能で、AirPlay2の同時再生をしたいならAppleTVを介せば済むためである(MacのAirPlayはAppleTVとほぼ同一の仕様)。

入力切り替え・再生方法

テレビは引き続きTCLの65X10。Yahooショッピングのアウトレットで8万円以下で買えてしまったが、4K60Hz入力+120fps倍速表示/DolbyVision+ピーク1500ニトのミニLED液晶を備える非常に優秀な機種。

TX-NR656のDolbyVisionパススルーと合わせると、高輝度且つ高音質でDolbyVision+DolbyAtmos作品を鑑賞可能。

1080p→4KアプコンとDolbySurround・65X10の倍速表示を合わせると、理論上は1080p60fps/2chステレオから4K120fps/5.1.2chサラウンドまでのアップコンバートが可能である。訳が分からん。
元々65X10はSDR映像も高輝度で視聴可能なため、どんな音声/映像もハイクオリティで楽しめる。4KアプコンとAtmosアプコンはアンプの恩恵。

更にはHDMI ARCがあるためテレビから光デジタルと同等の音声伝送が可能であり、放送番組の視聴でも困ることはない。
わたしはニチアサの見逃し対策(アイプリとわんぷり)として65X10の録画機能でUSBSSDに録画しており、放送や録画番組を見る時もDolbySurroundによるアップコンバートで高音質視聴が可能。

ARC入力のサラウンドモードは画面に表示されないため、
アンプのディスプレイで確認しながら設定する必要がある

テレビ・アンプ・各種映像機器を適切に設定しておけば、入力切り替えはほぼ全自動で行われる。
自動で切り替わらない=CEC非対応のBDプレイヤーは、物理リモコンでの操作が前提。ここに学習リモコンを用いることで、手動での入力切り替えとプレイヤーの操作を同時に行えるようにしている。

SwitchBot学習リモコン。
優秀なんだけど細かくカスタムする機能はバグ多め。Amazonリンク

総論

集めたAV機器を全て集約して映像・音声共にアップコンバートしてくれるので、構築したホームシアター環境を大きくレベルアップさせてくれる。
HDMI端子の搭載により映像機器も統括する存在となり、配線の大幅削減にも繋がる。

ハイトスピーカーの設置が必要なため相変わらずハードルは高いものの、工夫すれば押しピンラックでも足りるため賃貸でも設置可能なレベルに落とし込むことも現実的。
Dolby Atmos-Enabled Speakerを揃えれば、壁への設置なしで実現することも可能。

サラウンドLR・ハイトLRは全て押しピンラックで設置した

総じて規格自体が優れているため、Atmos対応アンプに乗り換えるだけでAV環境のあらゆる部分がリッチになる。
サラウンド環境を整えた後の次なるステップとして、非常に満足の行く結果になった。

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